岐阜県高山市の工房で木の器を削る作業が続く

工房の床に木の粉が薄く積もる。窓から差し込む光が粉に当たって白く光る。職人が丸太をゆっくり回す。刃物が木に触れると細い削り屑が落ちる。削り屑は床に静かに積もっていく。

高山市の工房では毎日同じ作業が繰り返される。丸太は直径30センチほどのクヌギである。職人は丸太を旋盤に固定し、刃先を当てる。削り屑は1本の線になって床に落ちる。削り屑の長さは30センチほどになることもある。

作業は朝8時から始まる。職人は丸太を削りながら形を整える。器の底は平らに、縁は少し厚く残す。厚さは5ミリほどになる。器の直径は20センチ前後である。削り終えた器は木の粉を払って棚に置かれる。

削り屑は毎日集められる。集められた削り屑は薪ストーブの燃料になる。薪ストーブは工房の隅に置かれている。冬の朝に点火され、削り屑がゆっくり燃える。煙は煙突から外に出ていく。

器は1日に5個ほど完成する。完成した器は水で洗って乾燥させる。乾燥には2日かかる。乾燥が終わった器は表面を布で拭く。布の摩擦で木の表面が少し光る。

工房の壁には完成した器が並ぶ。器の色は木の種類によって異なる。クヌギの器は淡い茶色になる。職人は器の形を少しずつ変える。形の違いは底の丸みや縁の角度である。

削る作業は音を立てない。刃物が木に当たる音は小さく、部屋に残らない。職人は同じ姿勢で数時間作業を続ける。作業の合間に窓を開けて外の空気を入れる。外の空気は工房の中に静かに入ってくる。