栃木県益子町の陶器市で窯元が器を並べる作業が続く

朝の光が益子焼の土に落ち、陶器市の会場に薄い影ができる。

益子町の陶器市は毎年この時期に開かれる。町内の窯元約40軒が作品を持ち寄り、並べる作業は午前5時半から始まる。直径20センチほどの平皿が木箱から取り出され、布で拭かれる。

作業は静かだ。窯元の一人は素焼きの湯呑みを二段に重ね、台の上に置く。隣の人は鉄釉の花瓶を棚の中央に置き、角度を10度ほど調整する。器同士の間隔は約3センチ。風が吹くと埃が舞うので、布で何度も拭き直す。

陶器市の敷地は約800平方メートル。中央通路の両側に木製の棚が並び、棚の高さは1メートル20センチ。棚板は杉材で作られ、1枚あたり重さは約8キロある。器を並べる人は午前中だけで300点以上を配置する。

並べる順番は決まっている。最初に重い大皿を下段に置き、次に軽い小鉢を上段に置く。色は明るいものから暗いものへ、大きさは小さいものから大きいものへ並べる。午前7時半には通路の片側がほぼ埋まる。

午前9時になると来場者が入場を始める。窯元は客の視線を意識して器の角度を微調整する。風が吹くと棚板がわずかに揺れるため、器同士が触れないよう再度確認する。

午前11時になると並べ作業は一段落する。窯元は水筒のお茶を飲み、残りの器を箱に戻す。陶器市の開催期間は3日間。初日の午後には別の窯元の作品が追加で並べられる予定だ。

益子焼の土は鉄分を多く含むため、焼成後に赤みが残る。器を並べる作業は土の性質を活かした配置を心がける。午後の光が強くなると、器の表面に光の反射が現れる。